最近、クラフトビールや地ビールという言葉を耳にする機会が増えてきましたよね(^▽^)/。
クラフトビール専門店がオープンしたり、スーパーやコンビニでも手軽に購入できるようになったりと、クラフトビールがより身近な存在になっています。
しかし、「クラフトビールと地ビールの違いは?」と聞かれると、すぐに答えられる人は少ないかもしれません。
なんとなく「どちらも小規模な醸造所で作られたビール」というイメージを持っている人も多いですが、本当にそれだけなのでしょうか?
この記事では、クラフトビールと地ビールの違いについて、歴史や定義を交えながら詳しく解説していきます。
それぞれのビールがどのように生まれ、どんな特徴を持っているのかを知ることで、より一層ビールを楽しめるようになるはずです。
クラフトビールと地ビールの違いとは?
クラフトビールと地ビールはどちらも小規模な醸造所で作られるビールですが、厳密にいうとその意味合いには違いがあります。
現在ではこの2つの言葉が混同されることも多く、明確な線引きが難しくなっているのが現状です。
しかし、それぞれの言葉が生まれた背景を知ることで、その違いをより深く理解できるはずです。
もともと地ビールという言葉は、日本で酒税法が改正された1994年以降に生まれたもので、観光地のお土産やご当地グルメとともに楽しまれる地域密着型のビールとして広がりました。
地元の特産品を使ったり、その土地ならではのスタイルを採用したりすることで、地域の特色を強く打ち出しているのが特徴です。
アメリカのビール文化の影響
一方で、クラフトビールという言葉は、主にアメリカのビール文化の影響を受けて日本に広まりました。
クラフトビールは「職人技が詰まったビール」という意味合いが強く、単に地域密着型のビールというだけでなく、作り手のこだわりや創造性が存分に発揮されるビールとして認識されています。
品質の高さや個性的な味わいを重視しているため、クラフトビールを提供するお店では、料理とのペアリングにもこだわっているところが多いです。
最近では、クラフトビールの中にも地域の特産品を活かしたものが増えており、地ビールとの違いはさらに曖昧になっています。
しかし、大きく分けると、地ビールは地域の魅力を伝えることを目的としたビール、クラフトビールは職人の技術や創造性を活かしたビールという位置づけになるでしょう。
地ビールが生まれた背景
日本では、1994年までビールを製造するためには、年間2000キロリットル以上の生産量が必要とされていました。
この規制により、小規模な醸造所が新たにビールを作ることは難しく、大手ビールメーカーによる市場独占が続いていたのです。
しかし、1994年の酒税法改正によって、最低生産量が60キロリットルに引き下げられました。
この変更をきっかけに、小規模な醸造所が次々に誕生し、地域の特色を生かしたビールが作られるようになりました。
この新しいビールは、地元の食材を使ったものや、その地域ならではの製法を取り入れたものが多かったため、「地酒」のような感覚で「地ビール」と呼ばれるようになりました。
地ビールブームと一時的な衰退
1990年代後半には地ビールブームが訪れ、多くの醸造所が誕生しました。
しかし、当時の地ビールは品質が安定しないものも多く、「値段が高いのに美味しくない」といった評価を受けることも少なくありませんでした。
この影響で、2000年代初頭には地ビールブームが下火になり、多くの醸造所が閉鎖されてしまいました。
ただし、一部の醸造所では品質向上に向けた努力を続け、本当に美味しいビールを作るための研究が重ねられました。
そんな中で、アメリカのクラフトビール文化が日本にも影響を与え、新たなビールの潮流が生まれることになります。
クラフトビールという新たなビール文化
アメリカでは1970年代からクラフトビール文化が発展し、多様なビールスタイルが生まれました。
この流れが2000年代に日本にも伝わり、「地ビール」とは異なるコンセプトで作られたビールが注目されるようになったのです。
特に、職人のこだわりを強調するために「クラフトビール」という言葉が使われるようになりました。
地ビールが「地域密着型のビール」だったのに対し、クラフトビールは「職人の技術や創造性を活かしたビール」として認識されるようになりました。
2010年代には、クラフトビール専門店が増え、より多くの人がクラフトビールの魅力を知るようになりました。
こうして、日本では「地ビール」から「クラフトビール」へと名称が移り変わっていったのです。
クラフトビールの定義とは?
クラフトビールの定義は、日本では明確に定められていませんが、アメリカのブルワーズ・アソシエーションではいくつかの基準を設けています。
アメリカのクラフトビール業界は非常に活発で、独立した醸造所が次々と新しいスタイルを生み出しながら、多様なビール文化を育んできました。
そんなアメリカの基準では、クラフトビールは次のような特徴を持つとされています。
まず、クラフトビールは大手ビールメーカーから独立していることが求められます。
これは、資本の影響を受けずに自由なビール造りを行うための条件であり、クラフトビールの個性や独自性を保つために重要な要素です。
大手の資本が入ると、どうしても大量生産向けの製法になってしまうことが多く、個性的な味わいを持つクラフトビール本来の魅力が失われる可能性があるからです。
生産規模の制限
次に、生産規模の制限があります。
アメリカの基準では、年間生産量が一定以下であることがクラフトビールの条件とされています。
小規模な醸造所で手作りのように作られることが、クラフトビールの特徴のひとつだからです。
大量生産のビールとは違い、クラフトビールは作り手の細かなこだわりや工夫が反映されやすく、バッチごとに少しずつ味の違いが生まれることも珍しくありません。
クラフトビールの新たな挑戦
また、クラフトビールは伝統的な醸造方法を大切にしながらも、新しい技術や原料を積極的に取り入れる姿勢が求められます。
ホップの種類を変えたり、熟成方法にこだわったり、フルーツやスパイスを使ったりと、醸造家のアイデア次第で無限の可能性が広がるのもクラフトビールの魅力です。
伝統と革新が共存することで、ビールの味わいがさらに奥深いものになっていきます。
日本では、こうした厳格な基準は設けられていませんが、多くのクラフトビール醸造所がアメリカの考え方に倣い、独自のスタイルを確立しながらビール造りを行っています。
日本のクラフトビールは、和の要素を取り入れたものも多く、例えば柚子や山椒、抹茶など、日本ならではの原料を使ったビールが登場することもあります。
このように、クラフトビールは国や地域によって特色が異なり、多様なスタイルを楽しめるのが大きな魅力です。
関連記事:クラフトビールの定義を詳しく>>
クラフトビールと地ビールの境界線とは?
クラフトビールと地ビールはもともと異なる背景を持っていましたが、近年ではその違いがあいまいになっています。
その理由のひとつが、クラフトビールの多様化です。
クラフトビールは、地域の特産品や伝統的な製法を取り入れることが増えており、地ビールのような側面を持つものが増えてきました。
例えば、日本各地で作られるクラフトビールの中には、地元産の果物やハーブを使用したものが多く見られます。
これらのビールは、地域の特色を活かしている点で地ビールに近いものの、作り手の創造性が強く反映されているため、クラフトビールとして扱われることも少なくありません。
また、観光地で販売されるクラフトビールも増えており、かつての地ビールのように「地域の魅力を伝えるためのビール」として親しまれるようになっています。
こうした変化により、クラフトビールと地ビールの境界線はますます曖昧になってきています。
さらに、大手ビールメーカーがクラフトビール市場に参入したことで、クラフトビールの定義が揺らぐこともあります。
本来、クラフトビールは独立した小規模な醸造所で作られるものですが、大手メーカーが「クラフトビール」として販売する商品も増えてきました。
こうした動きによって、クラフトビールの意味がより広範になり、地ビールとの違いを一層区別しにくくなっています。
まとめ
クラフトビールと地ビールは、元々は同じような意味で使われていましたが、歴史の中で少しずつ違いが生まれてきました。
地ビールは1994年の酒税法改正をきっかけに誕生し、地域の特色を生かしたビールとして販売されていました。
しかし、品質のばらつきなどからブームが下火になり、一部の醸造所が品質向上に努めたことで、クラフトビールという新たなカテゴリーが広まりました。
現在では、クラフトビールと地ビールの違いはあまり明確ではありませんが、クラフトビールは特に「職人のこだわり」や「高品質なビール」として認識されることが多いです。
どちらの言葉を使うかにこだわるよりも、それぞれのビールの背景や醸造家の思いを知りながら楽しむことが大切です。
ぜひ、お気に入りのクラフトビールや地ビールを見つけて、その魅力を存分に味わってみてください。
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