ビールとひとくちに言っても、味わいや香りは本当にさまざま。
初めてクラフトビールに挑戦しようと思ったとき、どれを選べばいいのか迷ってしまうことってありませんか?
私もまさにそんなタイプで、最初はラベルのデザインやネーミングだけで選んでいたことを思い出します。
だけど、自分の好みに合ったビアスタイルを知ることで、ビールの楽しみ方がガラッと変わっていったんです。
ビアスタイルとは?
ビールに詳しくないと「ビアスタイル」って言葉を聞いてもピンとこないかもしれません。
だけど、これはビールをもっと楽しむうえで欠かせないキーワードなんです。
味の傾向を知ることが第一歩
最初にびっくりしたのは、ビールにも甘いものやフルーティーなものがあるということでした。
自分の中で「ビール=苦い」の固定観念が強くて、学生のころは乾杯だけ我慢して飲んでいた記憶があるくらいです。
けれど、エールやホワイトビールを口にしたとき、「こんなに飲みやすいなら、もっと早く知っていればよかった」と思いました。
例えばペールエールは、ホップの香りが豊かでちょっと華やかな感じ。
苦みもしっかりあるけど、後味がスッキリしていて飲みやすいタイプが多いです。
逆に黒ビール系だと、チョコレートやコーヒーのような香ばしさがあって、食後の一杯としてもぴったり。
自分の好みを意識してみる
「普段から紅茶やコーヒーを選ぶときに甘めを好む」「酸味がある果物が好き」など、自分の飲食の好みを少し振り返ってみると、ビール選びのヒントになるかもしれません。
私は柑橘系の香りが好きだったので、IPA(インディアペールエール)を試してみたら、ドンピシャでハマりました。最初の一口でガツンとくる香りの強さがクセになるんです。
それでも、日によって気分が違うこともあるので、いくつかタイプの異なるビールをストックしておくようになりました。
今日は爽やかに、明日は濃厚に。そんなふうに選べるのもビールの醍醐味だと感じています。
クラフトビールの種類
最近はスーパーやコンビニでもクラフトビールが買えるようになって、選び方次第で味の世界がぐんと広がるようになりました。
IPA(インディア・ペール・エール)
IPAは、クラフトビールの代表的存在とも言えるスタイルです。
18世紀、イギリスからインドへの長い航海でも品質が保たれるよう、保存性を高めるためにホップを大量に使用したことからこの名前が付きました。
ホップはビールに香りや苦味を与える原料で、IPAではその香りや苦味が際立ちます。
柑橘類の皮、松、トロピカルフルーツなどを思わせる香りが豊かで、飲みごたえのあるビールです。
最近では「ダブルIPA」や「ヘイジーIPA」など、苦味を抑えつつもジューシーさを重視したスタイルも人気を集めています。
ペールエール
ペールエールは、イギリスで生まれた伝統的な上面発酵ビールで、琥珀色の美しい色合いとホップの程よい香り、モルトの甘味がバランス良く共存しています。
アメリカでは「アメリカンペールエール(APA)」として進化し、より香り高くフルーティーな味わいのビールに仕上がっています。
IPAほど苦くはないため、ビール初心者の方や、ホップの香りは楽しみたいけど苦味が強すぎるのは苦手という方にもおすすめです。
スタウト
スタウトは、焙煎した麦芽を使用することで生まれる黒く濃い色合いと、チョコレートやコーヒーのような香ばしさが特徴のビールです。
アルコール度数はやや高めのものが多く、口当たりも重厚で、まるでエスプレッソのような存在感があります。
特に「ドライスタウト」や「スイートスタウト」「インペリアルスタウト」などのバリエーションも豊富です。
ギネスなどが代表例ですが、クラフトブルワリーでも個性豊かなスタウトが数多く造られています。
ポーター
ポーターは、18世紀のロンドンで誕生したビールスタイルで、スタウトの祖先とも言われています。
スタウトよりも軽めで、麦芽の甘みと焙煎香が調和した飲みやすい味わいです。
カラメルやナッツのような香りを持ち、寒い季節にぴったりのビールです。
スタウトと同様に、個性豊かなフレーバーが展開されており、ダークビールの入り口としてもおすすめできます。
ヴァイツェン(Weizen)
ヴァイツェンは、ドイツのバイエルン地方で造られている小麦を使った上面発酵ビールです。
名前の「Weizen」はドイツ語で「小麦」を意味します。
特徴は、酵母由来のバナナやクローブ(スパイス)のようなフルーティーでスパイシーな香りと、クリーミーな口当たり。
色は白く濁っており、見た目にも柔らかく優しい印象を与えます。
苦味がほとんどないため、女性やビール初心者にも人気があります。
ベルジャンホワイト
ベルジャンホワイトは、ベルギーの伝統的な小麦ビールで、ヴァイツェンと似ていますが、オレンジピールやコリアンダーシードといったスパイスが加えられているのが特徴です。
これにより、柑橘系の爽やかさと、ほのかなスパイシーさが口の中で広がり、清涼感のある独特な風味を楽しめます。
アルコール度数はやや低めのものが多く、夏の暑い時期や食前酒にもぴったりのビールです。
ピルスナー
ピルスナーは、チェコのプルゼニ(Pilsen)という町で誕生した、下面発酵の淡色ラガーです。
日本の大手ビール(スーパードライ系)もこのスタイルをベースにしています。
クリアで黄金色の見た目、すっきりとした飲み口、爽快な苦味が魅力で、喉越しを重視したスタイルです。
クラフトビールとしては、ホップの香りやモルトの甘さをやや強めた「クラフトピルスナー」も人気があります。
シュバルツ
シュバルツは、ドイツ語で「黒」を意味する通り、黒色のラガービールです。
見た目は濃厚そうに見えますが、口当たりは軽く、ローストした麦芽の香ばしさとスムーズな喉ごしが両立しています。
苦味も控えめで、香ばしさを楽しみながらも飲みやすいため、「黒ビールは重い」という印象を持っている方にこそ試していただきたいスタイルです。
ボック
ボックは、ドイツで冬季や祝祭の時期に楽しまれてきた、アルコール度数の高いラガーです。
色は濃いめで、味わいはモルトの甘さとコクがしっかり感じられます。
「ダブルボック(Doppelbock)」や「アイスボック(Eisbock)」といった派生スタイルもあり、いずれも深みのある甘味とまろやかさが特徴です。
寒い時期にじっくりと味わうのに向いています。
ケルシュ(Kölsch)
ケルシュは、ドイツ・ケルン地方で造られる、上面発酵の淡色ビールです。
見た目はピルスナーのように透明で淡い色ですが、発酵方法が異なるため、よりフルーティーで華やかな香りが楽しめます。
喉ごしは軽やかで、ややドライな味わい。
キンキンに冷やしても風味が損なわれにくく、何杯でも飲めるような軽快さがあります。
伝統的には細長い200mlグラスで提供されるのが特徴です。
アルト
アルトは、ドイツ・デュッセルドルフの伝統的なビールで、「アルト」は「古い」を意味し、昔ながらの上面発酵製法を指しています。
赤褐色の色合いで、モルトの香ばしさとしっかりとした味わいがありながらも、後味はスッキリしています。
ピルスナーと違ってやや濃い味ですが、食事と合わせても楽しみやすいビールです。
バーレイワイン(Barley Wine)
バーレイワインは、ワインのように高いアルコール度数(8〜12%程度)を持つ非常に濃厚なビールです。
麦芽(Barley)を大量に使用することで、リッチで重厚なボディと、キャラメルやドライフルーツのような深みのある味わいを持っています。
長期熟成にも向いており、年を重ねるごとにまろやかさと複雑さが増していきます。
ゆっくり時間をかけて楽しむスタイルで、ワイン感覚で飲むのがおすすめです。
フルーツビール
フルーツビールは、その名の通り果実を加えて発酵・熟成させたビールで、ベルギーのランビックスタイルをルーツに持つものが多く見られます。
チェリー、ラズベリー、ピーチ、ゆず、マンゴーなど、使われる果物によって風味は大きく異なり、甘酸っぱい味わいやジューシーな香りが特徴です。
ビールの苦味が苦手な方や、アルコール感が少なめの飲み口を求める方にも人気があります。
ランビック
ランビックはベルギーの伝統的な自然発酵ビールで、野生酵母や乳酸菌を空気中から取り込み、樽の中でゆっくり発酵させていきます。
そのため、独特の酸味と香りがあり、クセのある味わいが特徴です。
通常のビールとは全く違った風味を持っており、ビール通の間でも好みが分かれる個性的なスタイルです。
グーズ(Gueuze)
グーズは、熟成されたランビックと若いランビックをブレンドし、瓶内で再発酵させて造るビールです。
きめ細かい泡とシャンパンのような口当たり、そして複雑でドライな酸味が特徴です。
発酵・熟成の工程がとても手間のかかるスタイルで、ビールというよりも発泡ワインに近いような飲み口を持っています。
食前酒や特別な日の一杯におすすめです。
自分だけの「お気に入り」を見つけるコツ
最初は何を選んでいいかわからなくても、少しずついろんな種類を試していくうちに「これだ!」という一本に出会える瞬間があります。
ラベル買いも意外とアリ
実際、私が初めてハマったクラフトビールは、ジャケ買いがきっかけでした。
鮮やかなイラストに惹かれて手に取ったIPAだったんですが、味も予想以上に好みに合っていたんです。
あとで調べてみたら、同じブルワリーの別スタイルもおいしいことがわかって、そこから一気にそのブランドを追いかけるようになりました。
デザインには、ビールの個性や世界観がしっかり表れていることが多くて、意外と侮れません。
なんとなく手に取った一本が、新しい好みを発見するきっかけになるかもしれません。
失敗しても、それもまた経験
もちろん、中には「ちょっと自分には合わないかも…」というビールに出会うこともあります。
でも、そういう体験も含めて、ビール選びの醍醐味だと思っています。
口に合わなかったスタイルを覚えておけば、次に選ぶときの参考になるし、味覚が変わることで後から好きになる場合もあるんですよね。
私は以前、あまり得意ではなかったサワーエールが、最近になって急においしく感じるようになって驚いています。
そのときの気分や体調、シチュエーションで、同じビールでも印象が変わるから面白いんです。
小さな一歩が、大きな発見に
クラフトビールの世界は本当に広くて、全部を飲み尽くすことなんてきっとできません。
でも、だからこそ、自分だけのお気に入りを見つけていくプロセスが面白いんです。
最初の一歩をどう踏み出すかは人それぞれ。
飲んでみて、「これは違うな」って思ったら、それはそれでOK。
自分の感覚に素直になって、気軽に楽しめばいいんじゃないかなと感じています。
今では冷蔵庫に何本か常備して、気分に合わせて選ぶのがちょっとした楽しみになっています。
お酒って、こうやって自分のペースで向き合えるのが一番だと思うんですよね。
まとめ
クラフトビールにはIPAやペールエール、スタウト、ヴァイツェン、ベルジャンホワイトなど、さまざまな種類があります。
それぞれ苦味や香り、アルコール度数、口当たりが異なるため、自分の好みやシーンに合わせて選ぶことが大切です。
苦味が強くしっかりした味わいがお好きならIPAやスタウトがおすすめで、フルーティーで軽やかな味わいを求めるならヴァイツェンやベルジャンホワイトがぴったりです。
また、季節や食事との相性で選ぶ楽しみもあります。
まずはいくつかのスタイルを飲み比べてみて、自分の好みを見つけることから始めてみてください。
クラフトビールの多彩な世界は、きっと新しいお気に入りの一杯との出会いをもたらしてくれます。
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