クラフトビールが好きな方なら一度は耳にしたことがあるはずの「ペールエール」。
個性的で香り高く、それでいて飲みやすいという絶妙なバランスが人気の理由です。
でも、ペールエールって具体的にどんなビールなのか、他のタイプとはどう違うのか、そう聞かれると案外答えにくいところもあるのではないでしょうか。
今回は、ペールエールの特徴や魅力にじっくりと触れながら、おすすめの銘柄もたっぷり紹介していきます。
家飲みのラインナップに加えたい人も、クラフトビール初心者でどれを選べばいいか迷っている人も、ぜひ参考にしてみてください。
ペールエールってどんなビール?
ペールエールとは、イギリス発祥のエールビールの一種。
18世紀ごろから飲まれていたと言われ、産地として有名なのがバートン・アポン・トレントという町。
ここの硬水が、ビールの風味をぐっと引き締めてくれるんです。
日本でよく飲まれているビールといえば、スッキリした味わいの「ラガー」が主流ですが、ペールエールはその逆。
エール酵母を使って20℃前後の温度で発酵させるので、フルーティーでコクのある仕上がりになります。
香りが立ち上るようなビールを探しているなら、ペールエールはまさにうってつけかもしれません。
色合いにも特徴があって、ピルスナーよりも濃い琥珀色をしているのが一般的。
グラスに注ぐと、ほんのりと赤みがかった透明感があり、見た目からすでにおいしそうです。
IPAと何が違うの?
クラフトビール界でよく話題になる「IPA」もエールの仲間。
そのため、ペールエールとどう違うのかが分かりにくいかもしれません。
IPAは「インディア・ペールエール」の略称で、もともとはイギリスからインドへビールを運ぶ際、長旅に耐えられるようホップを多く使って作られたという背景があります。
そのぶん、苦みやアルコール度数が強めで、ガツンとくる味わいが特徴です。
一方のペールエールは、そこまで主張が強くなく、飲みやすさと香りのバランスが絶妙。
気軽に楽しめるクラフトビールとして、多くのファンに愛されています。
苦味が苦手だけど香りは楽しみたいという人には、まずペールエールから試してみるのがおすすめです。
ペールエールのおすすめクラフトビール
ここからは、実際に飲んでみて「これは美味しい」「また買いたい」と思ったおすすめのペールエールを紹介していきます。
個性のある銘柄ばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
ヤッホーブルーイング よなよなエール
クラフトビール初心者にも勧めやすい代表的なペールエール。
アメリカンペールエール(APA)スタイルで、カスケードホップ由来のグレープフルーツのような柑橘系アロマが心地よく香ります。
飲み口はまろやかで、モルトの甘みとホップの苦味がバランスよく共存していて、まさに“ちょうどいい”一杯。
冷蔵庫でキンキンに冷やすよりも、13℃前後のやや高めの温度で飲むと、香りが開いてより一層楽しめます。
サントリー TOKYO CRAFT ペールエール
サントリーの技術力が光るクラフトラインの一本。
シトラス香とともに、カラメルモルトのようなふくよかな甘みが感じられる点も特徴です。
クセが少なく、ペールエールらしい苦味も穏やか。
普段ビールを飲み慣れていない人でも飲みやすく、食中酒としても優秀。
揚げ物との相性が特に良く、唐揚げと一緒に飲めば、香ばしさと苦味のハーモニーが食欲を引き立てます。
オラホビール キャプテンクロウ
「ホップバカ」を自称するファンも多いほど、ホップに振り切った香り高い一本。
ホップの強烈な香りと苦味が前面に出ていて、まるでIPAのようなアタックを感じます。
にもかかわらず、アルコール度数は5%と控えめで、キレもあるため飲み飽きません。
クラフトビールに慣れてきて「もっとホップを感じたい」と思い始めたら、一度試す価値ありです。
ブリュードック デッドポニークラブ
スコットランドの個性派ブルワリー「ブリュードック」の代表的なセッションペールエール。
3.8%という低アルコールながら、トロピカルフルーツやパッションフルーツのような豊かな香りがしっかりと楽しめます。
軽やかな口当たりで、ごくごく飲めるので、休日の昼間に外で飲むと最高の気分に。
ピクニックやキャンプのお供にもぴったりの一本です。
シエラネバダ ペールエール
ペールエールの歴史において“伝説”とも呼べる一本。
1980年に登場して以来、アメリカンクラフトビールの礎を築いた存在です。
カスケードホップの香り高さと、モルトのコクが美しく調和し、今でも色褪せない完成度。
飲み終えたあとに残る、ほのかな苦味の余韻が心地よく、何度でも飲みたくなる味わいです。
コナビール ファイアロック
ハワイ・コナ島発のクラフトビールで、ファイアロックはその中でも特に人気のペールエール。
南国らしいトロピカルな甘みと、ほどよいホップの苦味が特徴で、口に含むとまるで海風を感じるような清涼感があります。
BBQやグリル料理との相性も抜群で、夏場のアウトドアにもぴったりな一本。
九十九里オーシャンビール ペールエール
千葉の海辺の町で丁寧に作られている国産クラフト。
飲んだ瞬間に潮風を思わせるようなフレッシュさがあり、苦味はしっかりあるものの、とげとげしくない柔らかな余韻が魅力です。
魚介類と合わせても邪魔せず、むしろ味を引き立てる印象。
クラフトビールの中でも“和の繊細さ”を感じられる貴重な一本です。
インドの青鬼
インパクトあるネーミングとパッケージに惹かれて手に取る人も多いですが、中身も確かな実力派。
実際にはIPAに分類されるものの、ホップの華やかさと苦味がペールエールにも通じる味わい。
後味にまでしっかり苦味が残り、“クセになる”系。個性が強いため、飲むシチュエーションを選びますが、ハマる人はとことんハマるはず。
アウグスビール ペールエール
東京・渋谷を拠点とするブルワリーの代表作。
コクがありながらもスッキリした飲み口で、和洋問わず食事と合わせやすいのが特徴です。
和食との相性が良く、寿司や天ぷらと合わせても不思議とマッチ。
都会的な洗練さを感じさせる味で、ビール上級者にも満足度の高い一本です。
常陸野ネストビール ペールエール
茨城県・木内酒造が造るビールは、国内外で高評価を受けるプレミアムな存在。
このペールエールは香りがとにかく豊かで、カモミールのようなハーバル感も感じられるのが特徴です。
苦味は控えめで、初心者にも勧めやすく、女性にも人気。
パッケージのふくろうマークも可愛らしく、ギフトとしてもおすすめです。
ベアレン クラシック
岩手の老舗ブルワリー「ベアレン」が、ドイツ伝統の製法で造るラガースタイルに近いペールエール。
麦芽のコクが前に出ていて、パンのような芳ばしさが感じられます。
ホップの主張は控えめで、全体的にまろやか。
じっくり腰を据えて飲みたいときに選びたい一本です。
プレストンエール ペールエール
那須高原ビールが生み出すこの一本は、とてもナチュラルな味わいが印象的。
素材の良さを前面に押し出していて、まるで地元の朝採れ野菜のようなフレッシュさを感じます。
飲み疲れしないやさしさがあり、毎日飲みたくなる味わいです。
自然の中で飲むと格別な気分になれそう。
ローグ デッドガイエール
アメリカ・オレゴンのブルワリー「ローグ」が造るパンチの効いたビール。
ペールエールとはいえ、モルトの重厚な旨味が強く、ダークエールにも近い力強さを持っています。
香ばしさと甘み、苦味が一体となって押し寄せ、まさに“デッドガイ”の名にふさわしい衝撃の一杯。
肉料理との相性は抜群です。
ブルックリン イーストIPA
ペールエールとIPAの中間のような存在で、ホップのフルーティな香りとモルトのバランスが絶妙。
アメリカ・ニューヨーク発らしい洗練された印象で、ラベルもおしゃれ。
都会的な食卓やビアバーによく似合います。
クラフトビール初心者から上級者まで楽しめる懐の深さが魅力です。
鬼伝説ビール 金鬼ペールエール
北海道・登別の地ビールブランドが誇る渾身の一杯。
日本ならではの繊細な香りと、後を引くしっかりとした苦味が共存しており、まさに「日本人の舌に合うクラフトビール」。
寒い夜にこたつに入りながらゆっくり飲むと、じんわりと幸福感が広がります。
季節限定版やホップ違いもあるので、飲み比べもおすすめ。
まとめ
ペールエールはただのクラフトビールの一ジャンルではありません。
香り、コク、苦味の三拍子がそろい、しかも飲みやすいという絶妙なバランスが魅力のビールです。
初心者でも入りやすく、飲み慣れてくるとさらに深い味わいを感じられるのもポイント。
ペールエールを通して、自分の好みの味や香りを探すという楽しみもあるでしょう。
クラフトビールをもっと楽しみたいなら、まずはお気に入りのペールエールを見つけるところから始めてみてください。
ちょっとした週末の贅沢が、より豊かになるはずです。
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