初めて「リアルエール」って言葉を聞いたとき、「なんか本格派のビール?」くらいのイメージしかありませんでした。
だけど、一口飲んでみたら、その奥深さとやさしさにびっくり。
シュワシュワしすぎず、味わいがふくよかで、口の中でじんわり広がるような感覚…。
それが、リアルエールとの出会いでした。
日本ではまだそこまで馴染みがないかもしれませんが、実はビール好きの間ではじわじわと人気が高まっているスタイルなんです。
今回は、そんなリアルエールの魅力や特徴、そして実際に飲んで美味しかったおすすめの銘柄を紹介していきます。
リアルエールとは?
リアルエールとは、イギリスで誕生した伝統的なビールのスタイルなんです。
最初は「リアルって、他のビールはフェイクなの?」なんて思ってしまったのですが、意味合いとしては“自然な状態での発酵・熟成を経た本物のエール”という感じでしょうか。
大手の大量生産ビールと比べて、より職人の手仕事が活きていると言えるでしょう。
リアルエールは加熱処理や人工の炭酸ガス注入を行わず、発酵が終わった後も酵母が生きた状態のまま、樽(カスク)の中で自然に炭酸を発生させながら熟成されます。
その結果、炭酸がまろやかで泡立ちも控えめ。香りも繊細に立ち上がってくるのが特徴です。
実際に飲んでみると、「炭酸がキツくないのに、こんなに豊かな味がするんだ」と驚きます。
舌にチクチクくる感じがなく、穏やかな泡が液体と一緒にじんわり口内に広がるような印象。
だから、じっくり味わいたい人やクラフトビールにこだわりを持つ人たちに好まれるのでしょう。
リアルエールの魅力
最初に飲んだときは正直、「え、ぬるいの?」と感じてしまったんですよね。
でもそれがリアルエールの良さ。
冷たさにごまかされない分、モルトの甘みやホップの香りがダイレクトに伝わってきます。
イギリスでは通常、セラー(地下貯蔵庫)で11〜13℃くらいの温度に保たれた状態で提供されるのが一般的なんです。
ぬるいわけではなく、「ちょうどいい」んです。
体温に近いから、味わいの変化も感じやすい。
飲み始めと終わりで風味が変わるのも面白いポイントだと思います。
それに、何より口当たりがやさしい。
炭酸が強くないから、がぶがぶ飲むより、じっくり会話を楽しみながら、少しずつ味わうのにぴったりなんですよ。
私はよく、落ち着いた夜に一人で読書しながら飲んだりもします。
テレビを消して、静かな空間でリアルエールを飲むと、麦の香ばしさがよりくっきり感じられて、ちょっとした癒やしの時間になります。
もうひとつ魅力として大きいのが、フレッシュさ。樽から注がれてすぐのリアルエールって、ほんとうに“生きてる”感じがするんです。
フルーティだったり、香ばしかったり、銘柄によって印象は全然違うけれど、それぞれがしっかりと個性を持っています。
おすすめのリアルエール銘柄
リアルエールはなかなか手に入りにくいと思われがちですが、日本でも飲める・買える銘柄は意外とあります。
ここでは、私が実際に飲んで「これは美味しい!」と感じた5つのリアルエールを、特徴やおすすめの飲み方も交えてご紹介します。
フラーズ ロンドン・プライド(Fuller’s London Pride)
最初にぜひ試してもらいたいのが、イギリスを代表するリアルエール「フラーズ ロンドン・プライド」。
このビール、まさに“王道のリアルエール”って感じで、バランスの良さがとにかく絶妙です。
- 色合い:ほんのり赤みがかった琥珀色。見た目からして美しい。
- 味わい:モルトのコクがしっかりあるけど、重すぎない。ホップの苦味があとからふんわり香る。
- おすすめのシーン:じっくり読書しながら、または洋食と合わせて食中酒としても◎。
私は渋谷の老舗パブで初めてリアルエールとして飲んだんですが、その穏やかな飲み口に「えっ、これがビール!?」と衝撃を受けました。
ティモシー・テイラーズ ランドロード(Timothy Taylor’s Landlord)
「香りの豊かさ」で選ぶなら断然これ。
イングランド北部で愛されている人気のリアルエールです。
- 香り:お花のようなフローラル感が特徴的。ちょっと紅茶っぽい香りにも感じます。
- 味のバランス:苦味とコクのバランスがとれていて、軽やかだけど満足感あり。
- 温度が上がると…:柑橘系のニュアンスも出てきて、飲み進めるたびに表情が変わるのが楽しい。
私は都内のクラフトビアバーで飲んだんですが、香りの良さに思わずグラスをずっと鼻に近づけていた記憶があります(笑)
ベアードビール レッドローズアンバーエール(Baird Beer Red Rose Amber Ale)
静岡のクラフトブルワリー「ベアードビール」が手がける、こだわりのリアルエール。
- 日本で造られるリアルエール:カスクコンディション(自然発泡)で提供している貴重な国産ビール。
- 味の特徴:モルトの香ばしさとやさしい苦味、ほんのりとした甘みがクセになる。
- 飲める場所:直営の「ベアードタップルーム」や一部のリアルエール取り扱い店で楽しめます。
私が沼津のタップルームで飲んだときは、木樽からゆっくり注がれる琥珀色の液体を見て、それだけでテンションが上がりました。
口に含むと、やさしくてまろやか、そして深い余韻が残ります。
マーフィーズ アイリッシュ・レッド(Murphy’s Irish Red)
アイルランド発のリアルエール系ビール。
ギネスで有名なマーフィーズ社が造っています。
- 特徴:ほんのりキャラメルっぽい甘さと軽やかなボディ。苦味は控えめ。
- 色合い:美しい赤褐色が特徴で、見た目にも楽しめます。
- リアルエールとしての楽しみ方:缶でもそれなりに雰囲気は味わえるけど、樽で出会えるとラッキー!
アイルランド系パブで飲むと、より雰囲気が出ます。
飲み口が軽いので、ビール初心者にもおすすめですよ。
マイルズ オールドミル(Miles Old Mill)
ちょっとマニアックですが、イングランド西部の家族経営ブルワリーが造るリアルエール。
- 味わい:トーストのような香ばしさとまろやかな飲み口。酸味や苦味が少なく、しっかりモルト系。
- 低アルコール:4%前後と軽めで、長時間飲んでも疲れない。
- おすすめの飲み方:常温近くで少しずつ、口の中で“転がすように”飲むと真価を発揮します。
ロンドン旅行中にパブで出会った一本で、地元の常連さんたちが「これが本物のリアルエールだ」と教えてくれました。
地味だけど奥深い、そんな一本です。
リアルエールが買える場所と入手方法【実店舗・ネット通販】
リアルエールって「飲める場所はパブだけ」って思われがちですが、実は自宅でも楽しめるチャンスがちゃんとあるんです。
ここでは、リアルエールを買えるおすすめの場所を、実体験を交えてお伝えします。
成城石井や紀伊國屋などの高級スーパー
意外かもしれませんが、ちょっと高級めのスーパーをチェックすると、海外輸入のリアルエールがぽつんと棚に並んでいることがあります。
特に見かけたのは「フラーズ ロンドン・プライド」や「マーフィーズ」。
冷蔵じゃなくて常温の棚にあることが多いので、つい見逃しがち。
池袋の成城石井でロンドン・プライドを見つけて、その場でテンションが上がりました。
品揃えは店によってまちまちですが、定期的にのぞくと掘り出し物に出会えるかもしれません。
輸入ビール専門のネットショップ
もっと確実に探したいなら、ネット通販が一番安心です。
とくに以下のような専門ショップは、リアルエール系の取り扱いが豊富です。
- びあマ(BEEARMA)
- びあマ神田(東京の実店舗あり)
- Beer Volta(ビアボルタ)
- 楽天市場やYahoo!ショッピングの中のクラフトビール専門店
びあマは、私自身がよく使っていて、珍しい英国系エールがタイミング次第で入荷しています。
送料はかかりますが、箱を開ける瞬間のワクワク感はやっぱり特別です。
ただし、リアルエールは通常の瓶ビールや缶と違って「リアルコンディション」での保存が難しいため、完璧な状態で届くとは限りません。
そこを含めて「一期一会」だと思って楽しむといいかもしれません。
クラフトビールイベントやフェス会場
リアルエールに出会える場として見逃せないのが、クラフトビールのイベントやフェス。
特に「Great Japan Beer Festival(通称:ビアフェス)」や、「けやきひろばビール祭り」などでは、リアルエール専門のブースが出ることがあります。
私は2019年のビアフェス横浜で、ベアードビールのリアルエールを現地で飲んで、その場でボトル販売までしていたのを覚えています。
こういう場では、普段飲めないレア銘柄が突然出てきたりするので、行く価値ありです。
ベアードビール直営タップルーム(東京・神奈川・静岡)
国産リアルエールを飲んで、なおかつボトルで買って帰れる最高の場所といえば、やっぱりベアードビールのタップルームです。
沼津ヘッドクォーターズをはじめ、東京・中目黒や馬車道などにも店舗があり、カスクコンディションのリアルエールを直接注いで飲めるだけでなく、ボトル販売もやっていることがあります。
私が中目黒タップルームで「レッドローズアンバーエール」を飲んだとき、冷蔵庫に並んだ限定ラベルの瓶を見て即購入。
家でもう一度その味を確かめる贅沢な時間になりました。
まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございます。
リアルエールについて、少しでも興味がわいてくれたら嬉しいです。
日本ではまだ「冷たくて炭酸が効いたビールが正義」みたいな空気がありますが、リアルエールのようなぬるくて泡が少ないビールには、また違った“豊かさ”があります。
ただ飲むためのビールじゃなくて、味わうためのビール。
そんな存在だと思っています。
外の暑さをしのぐためにキンキンのビールを飲むのも最高ですが、秋の夜長や冬のまったりした時間には、リアルエールのような静かな味わいが恋しくなるんですよね。
何より、手間暇かけてつくられたことが伝わってくるあの味。
工業的な効率よりも、クラフトマンシップを重視した造り方。
それをしみじみ味わえるのが、リアルエールの一番の価値なんじゃないかなと、個人的には思っています。
これからの季節、ぜひ一度リアルエールを手にとってみてください。
きっと、新しいビールの世界が広がっていくはずです。
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