麦芽の種類とビールの味の関係とは?クラフトビールの奥深さを解説

麦芽の種類とビールの味の関係とは?クラフトビールの奥深さを解説 クラフトビールの基本

「このビール、香ばしい」「なんか甘いなあ」「チョコレートっぽい?」

そんな風に感じたことがあるなら、実はそれ、麦芽の仕業かもしれません。

最近はクラフトビールの人気が高まり、スーパーや専門店でも見たことのない銘柄をよく見かけますよね。

でも、どれを選べばいいかわからない…ってこと、ありませんか?

実は、ビールの味の違いには“麦芽(モルト)”が大きく関係しているんです。

この記事では、麦芽の種類や焙煎度の違いによってどのようにビールの味が変わるのか、クラフトビール沼にどっぷり浸かった筆者の視点で、わかりやすくかつディープにお届けしていきます。

 

麦芽とは?

麦芽の種類とビールの味の関係とは?クラフトビールの奥深さを解説

ビールの原材料といえば、まず思い浮かぶのが「麦芽」。

ただ、言葉は知っていても、どういうものなのか具体的にイメージできない人も多いかもしれません。

麦芽とは、大麦や小麦などの穀物を少し発芽させてから、熱を加えて乾燥させたもの。

この発芽によって酵素が活性化し、デンプンが糖に分解されやすくなるんです。

ビールの醸造では、酵母がこの糖分を食べてアルコールと炭酸を生み出してくれます。

ただし、麦芽の役割はそれだけじゃありません。

味、色、香り、そして泡立ちまで、ビールの個性の大半は麦芽が握っているんです。

ビール作りの体験ワークショップに参加したとき、麦芽の香りだけで「うわ、パンみたい」「これはキャラメルっぽい」と驚いたことがあります。

 

麦の種類と原料としての特性

麦芽の種類とビールの味の麦芽の種類とビールの味の関係とは?クラフトビールの奥深さを解説麦芽の種類とビールの味の関係とは?クラフトビールの奥深さを解説麦芽の種類とビールの味の関係とは?クラフトビールの奥深さを解説麦芽の種類とビールの味の関係とは?クラフトビールの奥深さを解説関係とは?クラフトビールの奥深さを解説

「大麦」――二条と六条の違いって?

世界中で愛されているビール。

その原料のなかでもっとも多く使われているのが「大麦麦芽」です。

もとになる「大麦」には、穂の形で「二条大麦」と「六条大麦」という2つのタイプがあります。

「六条大麦」は、その名の通り、1つの穂に6列の種子が整然と並びます。

対して「二条大麦」は、6つのうち4つが実らず、2列だけが発達します。

この違い、実は穂の見た目にも表れていて、六条はふっくら、二条は平たくスマートな印象。

缶ビールに描かれているあの平たい麦の絵、あれはまさに「二条大麦」なんですね。

そして、ビールづくりに選ばれるのはほとんどがこの「二条大麦」。

というのも、種子ひとつひとつに中身がぎっしり詰まっていて、エキス分がたっぷりだから。

つまり、より効率的にうまみ成分が引き出せるというわけです。

 

「小麦」

一方、「小麦」もビールに使われることがあります。

見た目は六条大麦に近いふっくらタイプ。

でも、大麦と違って殻がぽろっと剥けるのが特徴です。

小麦粉に加工しやすいのもこの性質のおかげですね。

ただし、この“殻がない”という点、ビール造りにおいては一長一短。

仕込時に麦汁をろ過する工程では、大麦の殻が天然のフィルターとして機能するのですが、小麦だとその役目を果たせません。

たくさん使うと、ろ過がちょっと面倒になることも。

また、小麦は基本的に食用を前提とした品種ばかり。

ビール専用の「ビール小麦」なんて存在しないので、品質のばらつきが大きく、使うロットが変わるたびに注意が必要なんです。

 

「ライ麦」と「オーツ」

クラフトビールの広がりとともに、「大麦」や「小麦」以外の穀物も注目されるようになってきました。

その代表格が「ライ麦」と「オーツ」です。

「ライ麦」は、もともと小麦畑に生える雑草だったなんて話もあるくらいですが、寒冷地でも育ちやすく、やがて人の手で栽培されるように。パンで言うところの“ハイジの黒パン”に使われているのもこのライ麦です。

ビールに使うと、ちょっとくすんだ色合いや独特の酸味、とろみ、そしてにごりが加わります。

一方、「オーツ(オートミールの原料)」もビール業界での存在感が増してきました。

特に、にごりを活かすヘイジーIPAとの相性が抜群。

ろ過しにくいという点が、かえってにごり重視のスタイルでは武器になるんですね。

 

製麦の工程――浸麦・発芽・焙燥で麦芽はできあがる

麦芽づくりは「製麦」と呼ばれる工程を経て行われます。

最初のステップは「浸麦」。大麦を水に浸して、発芽に必要な水分を吸わせます。

この水分量(=浸麦度)がビールの品質に直結するので、製麦職人の腕の見せどころでもあるんです。

次に、「発芽槽」で大麦を発芽させます。

ただし、発芽が進むと熱を帯びるため、冷風を送りながら15℃前後の低温に保って、穏やかに発芽させていきます。

さらに、根っこが絡まないようにスクリューで定期的に攪拌しながら管理。

こうしてできあがった「緑麦芽」が、次の「焙燥」工程へと進みます。

焙燥ではまず50℃前後で水分を飛ばし、酵素が失活しないようにします。

その後80℃以上に温度を上げて、香ばしさや色合いを加えていきます。

こうして初めて、ビールに使える「麦芽」が完成するわけです。

 

麦芽の加工の仕方や焙煎度合いでの分け方

麦芽の種類とビールの味の関係とは?クラフトビールの奥深さを解説

同じ麦から作られる麦芽でも、加工の仕方や焙煎度合いによってその性格は大きく変わります。

それぞれに個性があり、どんなビールスタイルに使われるかも違ってきます。

最近お気に入りのブルワリーで「麦芽飲み比べセット」を注文したとき、モルトの種類ごとにビールの味がこんなにも変わるのかと感動したんですよね。

いくつか代表的な麦芽を、具体的な味の違いとともにご紹介します。

 

ペールモルト(ライトモルト)

もっともベーシックな麦芽が、このペールモルト。

ピルスナーモルトと呼ばれることもあります。

淡い色で、クセのない麦の甘みがあり、スッキリ系のラガーやペールエールに使われることが多いです。

私がクラフトビールを飲み始めた頃、軽くて飲みやすいペールエールにハマっていました。

その時は何も考えずに飲んでいましたが、今思えばこのモルトが使われていたからこそ、どんな料理とも相性が良くて飽きがこなかったんですよね。

 

ミュンヘナーモルト

ミュンヘン発祥のこのモルトは、ペールモルトより色が濃く、ローストされたような香ばしさが特徴です。

赤茶色のビールや、バイツェン、マルツビールなどに使われることが多く、コクのある仕上がりになります。

最初に飲んだとき、「あれ?パンみたいな風味がする」と思ったのを今でも覚えています。

トーストをかじったときの香ばしさに近くて、しっかりとした味の料理と合わせると本当に美味しいんですよ。

チーズ系の料理やハンバーグにぴったりです。

 

カラメルモルト

麦芽を加熱してカラメル化したこのモルトは、独特の甘みとコクがあります。

色も深く、アンバーエールやブラウンエール、レッドエールによく使われています。

自分のなかで「ビール=苦い」というイメージが覆されたのが、このモルトのおかげでした。

寒い夜、毛布にくるまりながら飲んだブラウンエールのまろやかさとチョコっぽい風味。

ビールでこんなに癒やされるなんて…と、ちょっと感動しました。

 

チョコレートモルト・ブラックモルト

焙煎度が高いこのモルトは、まるでコーヒー豆のような香りがします。

黒ビール(スタウトやポーター)に欠かせない存在で、苦味やスモーキーさを加えることができます。

初めてギネスビールを飲んだとき、「苦いけど、コーヒーみたいで好き」と感じたのは、このモルトの効果だったんですね。

最近ではチョコレートスタウトやミルクスタウトなど、甘さとのバランスをとったビールも増えてきて、黒ビールの奥深さにハマりつつあります。

 

麦芽の焙煎度がもたらす味のニュアンス

麦芽の違いがビールの味に影響を与える…と言われても、ピンと来ない方もいるかもしれません。

でも、コーヒーを思い浮かべてみてください。

浅煎りと深煎りで香りや味わいが全然違うように、麦芽も焙煎度で性格がガラッと変わるんです。

ライトローストの麦芽なら、やさしい甘さと軽やかな味。

ミディアムローストになると、香ばしさやコクが前面に出てきます。

そしてダークローストは、焦がしキャラメルやコーヒーのような深みのある風味が際立ちます。

ある日、友人に勧められて飲んだスモークビール。

まるでベーコンみたいな香りに一瞬びっくりしました。

でも飲んでみると、クセになる味で。

こんなビールもあるのかと、新たな世界に出会えた気がしました。

 

麦芽とビールの味わいの違い

ビールには複数のモルトがブレンドされていることが多いです。

その組み合わせや配合割合によって、味のバランスが決まってくるわけですが、これがまた絶妙なんですよね。

あるブルワリーで「このビールはペールモルト60%、カラメルモルト30%、チョコレートモルト10%です」って説明を受けたとき、「なるほど、だからこんな味がするんだ!」と腑に落ちました。

主役を張るモルトと、脇役として香りやコクを添えるモルト。

それぞれの役割を理解すると、ビールがまるで料理みたいに思えてきます。

実際、ビールを「液体の料理」と表現する人もいますしね。

 

自分の好みを知ればビール選びはもっと楽しくなる

麦芽の種類や比率、焙煎度を意識して飲んでみると、自分の好みがどんどん明確になってきます。

最初は苦手だった黒ビールも、今ではダークローストの香ばしさがクセになってきましたし、食事とのペアリングも面白いです。

最近では、ビールのラベルに使用モルトの種類が書かれているものも増えてきました。

ちょっとした手がかりから、自分好みのビールを探すのはまるで宝探しのよう。

ブルワリーの人に直接聞くのもおすすめです。

こだわりの背景を知ると、ますますそのビールが好きになりますよ。

 

まとめ

麦芽の種類とビールの味の関係とは?クラフトビールの奥深さを解説

これまで「苦いからビールは苦手」と思っていた人も、実は麦芽の個性を知ることで新たな扉が開くかもしれません。

あまい、香ばしい、濃い、軽い、フルーティー…その全てをコントロールしているのが麦芽なんです。

ビールはただの飲み物じゃない、って最近つくづく感じます。

味や香りの背景に職人の技や素材のこだわりが詰まっていて、そこに触れると一口一口が特別に感じられるんですよね。

もしあなたがまだ「なんとなくで選んでる」なら、次の1本は“麦芽の種類”に注目してみてください。

ほんの少し知るだけで、ビールはぐんと楽しくなりますよ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました