クラフトビールの世界にハマったきっかけがウェストコーストIPAだった、という人は少なくないと思います。
わたしもその一人です。最初は「なんだこの苦さ!?」と驚いたけれど、気づいたら毎週のようにIPAの新作を追いかけていました。
今回はそんなウェストコーストIPAの特徴や、実際に飲んでよかった銘柄について書いてみます。
ウェストコーストIPAとは?
最初に出会ったウェストコーストIPAは、東京のクラフトビール専門店で注文した一杯でした。
琥珀色に輝くそのビールからは、柑橘と松のような香りが立ち上って、ひと口飲んだだけで一気に目が覚めるような苦味が走ったのを覚えています。
このスタイルは、アメリカ西海岸、特にカリフォルニアを中心に発展してきたIPAのひとつです。
IPA自体がインディア・ペールエールというホップの香りと苦味が際立ったスタイルなのですが、その中でもウェストコーストIPAは、苦味にフォーカスを当てた直球勝負のような存在です。
特徴的なのは、とにかく「クリアでドライ」なこと。
濁りのあるヘイジーIPAとは対照的に、透き通った見た目と、スカッとした後味を持っています。
ホップの苦味がしっかり効いていて、グレープフルーツや松脂、花のような香りがガツンとくるタイプです。
モルトの甘さを抑えめにしているので、飲みごたえはあるのに重たくない。
このバランス感がクセになって、わたしはついつい何杯も飲んでしまいます。
しっかり冷やした状態で飲むと、苦味がさらに引き立つので、真夏の夜なんかには最高の一杯になります。
ウェストコーストIPAが人気の理由
初めて飲んだときの衝撃って、やっぱり大事なんだなと思います。
あの強烈な苦味と香り、そして後味のキレ。この「パンチ力」がウェストコーストIPA最大の魅力かもしれません。
飲み手の舌に直接ぶつかってくるような刺激があって、飲んだあともしばらく余韻が残るんですよね。
それから、ビールらしい「苦い」という感覚を求めている人にとって、このスタイルはかなり刺さると思います。
最近ではフルーティーなヘイジーIPAや、やさしい味わいのビールも増えてきましたが、しっかり苦くてガツンとくるビールが飲みたいという気分のとき、やっぱりウェストコーストIPAに戻ってきてしまいます。
個人的には、疲れたときこそこのスタイルが沁みます。
脳がシャキッとする感じというか、一杯でリセットできるような強さがあるんです。
そんな理由もあってか、クラフトビール界隈でも根強い人気を保ち続けています。
苦味があるとはいえ、ただ苦いだけじゃないのがウェストコーストIPAの奥深いところ。
香りとのバランス、後味のキレ、温度での味の変化。飲むたびに新しい発見があるんですよね。
そういう意味では、飽きるという感覚がなかなかやってこないビールでもあります。
ウェストコーストIPAおすすめ
クラフトビールに目覚めてからというもの、IPAを見かけるたびに試してきました。
その中でも、「これは当たりだ」と思ったウェストコーストIPAをいくつか紹介します。
香りの個性や苦味のバランス、飲み終わったあとの余韻まで、それぞれに違った良さがあるので、気分に合わせて選ぶのも楽しいです。
Stone IPA(ストーンIPA)
アメリカの名門「ストーン・ブリューイング」が手がける、まさにウェストコーストIPAの代表格。
柑橘と松の香りがガツンときて、ひと口で目が覚めるようなインパクトがあります。
苦味もはっきりしていて、飲みごたえ抜群。
初めての一本にも、自分へのご褒美にもぴったりな一本です。
Sculpin IPA(スカルピンIPA)
バラストポイントが醸すこのビールは、華やかさと力強さのバランスが見事です。
グレープフルーツを思わせる柑橘の香りがフワッと広がって、ほどよくドライ。後味にほんのり塩っぽさを感じるのがクセになります。
個人的には、夏の終わりの夕暮れに飲みたくなる一本です。
YUYU IPA(うしとらブルワリー)
国産クラフトビールの中でも異彩を放つ存在。
うしとらブルワリーのIPAシリーズはどれもハズレなしですが、中でもYUYU IPAは、香りがとにかくエレガント。
オレンジピール、松脂、少し草っぽいグリーン感。
その全部が絶妙に混ざって、飲んでいる最中ずっと鼻を近づけてしまいます。
夕焼けIPA(うしとらブルワリー)
こちらも同じブルワリーから。
名前の通り、少し赤みがかった色合いが印象的で、モルトのコクとホップのキレがバランスよく共存しています。
じわっと染み込むような苦味に、どこかノスタルジックな気分にさせられました。
夕方にぼーっとしながら飲みたいビールです。
伊勢角屋麦酒 IPA
日本を代表するクラフトビール醸造所のひとつ、伊勢角屋麦酒がつくる定番IPA。
ドライな口当たりと力強いホップ香、バランスの良さが際立っていて、ビール初心者にもすすめやすいです。
強すぎず、でもしっかり主張してくる感じが、日本の料理にも合うんですよね。
Green Flash West Coast IPA
これぞ「王道ウェストコースト」と言いたくなるアメリカ・サンディエゴ産のビール。
とにかくホップのパンチがすごくて、飲むたびに刺激が走ります。
柑橘系、松、土のようなアーシーさまで感じられて、ただ苦いだけじゃない深みがある。
わたしはこのビールでウェストコーストIPAに本気でハマりました。
Firestone Walker Union Jack IPA
フルーティーな香りとガツンとくる苦味、その両立が見事な一杯。
名前はイギリスっぽいですが、れっきとしたアメリカのIPAです。
トロピカルな甘みが顔を出したかと思えば、直後にしっかりドライに切れていく。
その流れが気持ちよくて、つい次の一口を誘われてしまいます。
ベアードブルーイング レイニーシーズンブラックIPA
ちょっと変化球ですが、静岡のベアードブルーイングが出しているブラックIPAも一度飲んでみてほしいです。
ロースト感のある香ばしさと、IPAらしいホップの苦味が見事に融合していて、雨の日や冬の夜にぴったりの味わい。
冷たくてもしっかり風味が立つので、温度変化も楽しめます。
まとめ
いろんなクラフトビールを飲んできたけれど、ウェストコーストIPAはやっぱり特別な存在だなと思います。
しっかり苦くて、でも飽きない。飲みごたえがあるのに重たくない。
なんだかんだで、こういう「王道」みたいな味に惹かれる瞬間ってありますよね。
冷蔵庫に一本ストックしておけば、気分を変えたい夜にも、誰かとビールをシェアする日にもぴったりだと思います。
もしまだ飲んだことがないなら、一度どこかのビアバーで試してみてほしいです。
もしかしたら、最初の一杯がクセになって、新しいビールライフが始まるかもしれません。
ビール選びに迷ったら、とりあえずウェストコーストIPA。
このクセになる感じ、きっとわかってもらえるはずです。
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