ビールって、ただのど越しだけで語るにはもったいない。
じっくり味わうと、そこには香りや苦味、甘み、コク……いろんな表情が隠れているんです。
そんなビールの魅力をもっと深く知るために、自宅でもできるビアテイスティングのやり方を、自分の体験とともに紹介します。
ビアテイスティングの準備
いきなり飲むより、ちょっとした準備をするとビールの味わい方がまるで変わってきます。
最初は「そんな細かいこといらないんじゃ?」って思っていたんですが、実際やってみると印象がまったく違いました。
グラス選び
最初はなんでもいいと思っていたんです。
でも、あるとき香りが全然感じられなかったことがあって、「もしかしてグラスのせい?」と思い、専用のテイスティンググラスを使ってみたら…香りの立ち方が全然違う。
ワイングラスに近い形のグラスを使うと、香りがふわっと鼻に届く感じがして、それだけでテンションが上がります。
温度は冷やしすぎないほうがいい
よく冷えたビールももちろん美味しい。
でも、テイスティングのときはちょっとぬるめのほうが、香りや味がわかりやすいです。
冷蔵庫から出して5〜10分くらい置いておくと、いい感じの温度になります。
前にラガー系のビールをキンキンに冷やして飲んだとき、苦味しか感じられなかったのが、少しぬるくしてみたらフルーティーな甘みまで分かって驚きました。
光と匂いに気を配る
意外と見落としがちなんですが、テイスティングの環境ってすごく大切です。
直射日光が当たる場所や、香水や料理の匂いが漂っている部屋だと、せっかくのビールの香りがかき消されてしまうんですよね。
自然光が差し込む静かな場所で、匂いが混ざらないように気をつけるだけで、集中して味わえるようになります。
ビアテイスティングのコツ
ただ口に運ぶだけじゃもったいない。
ビールを味わうには、少しの工夫と集中が必要です。
最初は気取ってるみたいで恥ずかしかったけど、慣れてくるとその時間がすごく楽しくなってきます。
観察してから飲む
最初にビールをじっと眺めてみると、不思議と気持ちが整います。
泡立ち、色、グラスの中の気泡。特に濁り系のビールは、見た目だけでも個性が出ていて、これからどんな味なのかワクワクするんです。
色が濃ければ苦味が強いのかなとか、見た目と味を照らし合わせるのも楽しいポイント。
香りをしっかり感じる
グラスをくるくる回して、鼻を近づけて、香りをしっかり嗅いでみると……ビールってこんなにいい香りがするんだって驚きました。
柑橘っぽい香りや、ハーブ、時にはチョコやコーヒーみたいな香ばしさまで。
ひとくち飲む前に香りを楽しむだけで、満足感がグンと上がります。
味の変化に意識を向ける
一口飲んで「美味しい」で終わるのはもったいない。
口に入れた瞬間の味、舌の上で転がしたときの印象、飲み込んだ後の余韻。
そのすべてがビールの魅力なんですよね。
あるIPAを飲んだとき、最初はグレープフルーツみたいな香りから始まって、徐々に松のような苦味が出てきて、最後にはちょっとした甘みが残って……まるで物語を読んでるみたいでした。
一度に飲まず、ゆっくり味わう
ついつい喉越しでグビっといきたくなるんですが、それは我慢。
テイスティングでは一口ずつ、口の中で転がすように飲むと、細かいニュアンスまで感じ取れます。
僕はよく、最初のひとくち目と、3口目の印象を比べてみるんです。
そうすると「最初よりもまろやかに感じるな」とか「後味の酸味が強調されてきた」とか、時間とともに変わる味わいに気づくことができます。
クラフトビールの楽しみ方
結局、正解なんてないんですよね。
自分が楽しいと思えるやり方で飲むのが一番。
でも、いろんなやり方を知っておくと、そこから新しい発見があったり、自分の好みがよりハッキリしてきたりします。
メモを取ると発見が増える
昔はそんなに熱心じゃなかったんですが、ある日ふと思いついて、飲んだビールの印象をメモしてみたんです。
「トロピカルな香り、後味に苦味、ややドライ」みたいに簡単なメモでも、後で見返すと「このビール好きだったな」とか「こっちはちょっと重かったかも」と振り返れるのが面白いんです。
だんだん自分の好みも見えてきて、次に選ぶときの参考にもなります。
テイスティング会で広がる世界
ひとりで飲むのも楽しいですが、何人かでテイスティングすると、また違った視点が得られます。
ある日、クラフトビール好きが集まるイベントに参加したとき、「これ、バナナっぽくない?」という声に「えっ、バナナ!?」と驚いて飲み直したら、確かにそんな気がしてきたんです。
自分じゃ気づけない味や香りも、他の人の感想で広がっていくのが、すごくおもしろい体験でした。
雰囲気やシチュエーションも大事
同じビールでも、飲む場所や気分で印象が変わることってあります。
海辺で飲むIPAはいつもより爽やかに感じたり、冬の夜にこたつで飲むスタウトが妙に沁みたり。
音楽を流しながらとか、好きなグラスで飲むだけでも、いつもの一杯がちょっと特別な時間になります。
食べ物との相性を楽しむ
テイスティングでは基本的に食べ物は控えることが多いですが、フードペアリングを意識してみると新しい世界が見えてきます。
IPAに唐揚げを合わせると脂っこさが中和されたり、スタウトにチョコレートを合わせると甘さと苦味が共鳴して、まるでデザートのような楽しみ方ができたりします。
ひと口ずつ交互に味わうだけでも、驚くような相乗効果があったりするんですよね。
ビールって、日常の中にある小さな楽しみだけど、そこに少しだけ手間を加えるだけで、ぐっと奥深くなる。
テイスティングなんて聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、要は「ちょっとだけ丁寧に味わってみる」ってこと。それだけで、いつものビールがまるで違って見えるんです。
気張らず、楽しむ気持ちで始めてみるのがいちばんです。
まとめ
ビアテイスティングって、ただの飲み比べじゃないんですよね。
グラスを選ぶところから始まって、色や香りにじっくり向き合って、一口目で感じた印象が温度で変わっていく過程にまで気づけると、いつものビールが全然違って見えてきます。
最初は難しく考えすぎず、気になったビールを1本選んで、静かな時間にじっくり味わってみるところからでも十分だと思います。
ひとりで味の違いを探ってもいいし、仲間と語り合いながらやるのも面白いです。
正解も不正解もない世界なので、「自分の感じ方」で向き合えるのがビアテイスティングのいいところかもしれません。
これからビールを飲むたびに、ちょっとした発見が増えると、日常がほんの少し楽しくなるかもしれません。
気軽に、でも丁寧に。そんな気持ちで、次の一杯に向き合ってみてください。
コメント