ビールの中でも、深いコクと香ばしさが特徴の「黒ビール」。
その中でも「スタウト」と呼ばれる種類を耳にすることがあります。
けれども、黒ビールとスタウトの違いって、ぱっと説明できる人は少ないかもしれません。
最初は「黒ビールとスタウトって同じものじゃないの?」と思っていました。
そこでこの記事では、その違いや製法、特徴をわかりやすく紹介していきます。
黒ビールとは?
黒ビールと聞いて、まず思い浮かべるのはその見た目の濃さ。
グラスに注ぐと透けないほどの漆黒で、泡もやや茶色がかっていたりします。
このビール、実はいろんな種類があるんです。
黒ビールは「ローストモルト」と呼ばれる、しっかり焙煎された麦芽を使って作られています。
そのため、コーヒーやチョコレートのような香ばしい風味が感じられます。
アルコール度数や味の濃さは種類によってさまざまで、日本でよく見かけるのは「シュバルツ(ドイツ系)」や「ポーター(イギリス系)」といったスタイル。
最初に飲んだ黒ビールはドイツのイベントで提供されていたシュバルツでした。
苦味があるのに飲みやすくて、想像していたよりも軽やかでびっくりした記憶があります。
重いイメージがあったのですが、その印象ががらっと変わった瞬間でした。
スタウトとは?
黒ビールの中でもよく名前が挙がる「スタウト」。
このスタウトは、実はイギリス発祥のビアスタイルで、もともとは「ポーター」の派生として生まれたものです。
スタウトという名前は「強い」「しっかりした」といった意味があり、もともとはアルコール度数が高めのポーターを「スタウト・ポーター」と呼んでいたのが始まりです。
時代が進むにつれて、「スタウト」という独立したスタイルとして定着していきました。
スタウトの味わいは、濃厚でロースト感が強め。
コーヒーのような深みや、ほんのり焦げたような苦味が印象的です。
中には「オートミールスタウト」や「スウィートスタウト」「ドライスタウト」といった細かなバリエーションもあって、好みに合わせて選べるのが楽しいところ。
初めてギネスのスタウトを飲んだ時は、そのクリーミーな泡立ちにびっくりしました。
炭酸が控えめなのにしっかりとした口当たりがあって、喉ごしというよりも「味わって飲む」感覚が新鮮でした。
黒ビールとスタウトの違いとは?
「黒ビール」と「スタウト」、どちらも黒くてロースト感のあるビール。
でも、違いはちゃんとあるんです。
ざっくりいうと、「黒ビール」はビールの色のカテゴリ、「スタウト」はその中のスタイルのひとつ、という感じ。
たとえば、シュバルツやダークラガーのように、ラガー酵母で低温発酵させた黒ビールもあります。
これらは、すっきりとした飲み口で、香ばしさがあってもスタウトほど重くありません。
一方、スタウトはエール酵母を使って高温発酵されることが多く、風味が複雑で濃厚。
飲み比べると、その違いは意外と分かりやすいんです。
どちらが良い・悪いではなく、場面や気分で選ぶと楽しみ方が広がります。
クラフトビールにハマり始めた頃、同じ「黒ビール」として販売されているスタウトとシュバルツを飲み比べたことがありました。
どちらも黒くて似ているけど、シュバルツのほうが軽くて飲みやすかったのに対して、スタウトはずっしりとした飲みごたえがあり、コクが深かったんです。
その時から、料理や季節によって飲み分けるようになりました。
寒い夜にはスタウトの濃厚さがぴったりで、こたつでチョコレートと一緒に飲むのがちょっとした贅沢になっています。
製法の違いもポイント
製法の違いも両者を見分けるポイントです。
黒ビール全体では、ラガー酵母を使用したものも多く、比較的すっきりした仕上がりになります。
発酵温度が低いため、雑味が少なくクリアな味わいに。
スタウトはエール酵母を使用し、やや高めの温度で発酵されるため、酵母由来のフルーティーな香りや、まろやかな口当たりが出やすくなります。
また、使用するモルトも違いが出やすく、スタウトではブラックモルトやチョコレートモルトといった深く焙煎された麦芽が多用されます。
作り手によってレシピは千差万別ですが、それぞれの製法の違いが、味わいに個性を生んでいるのは間違いありません。
飲むシーンに合わせた選び方
どちらも魅力的な黒系ビールですが、飲むタイミングや合わせる料理によって、意外と印象がガラッと変わるんです。
だからこそ、ちょっとだけ「どういう時に飲むか」を意識して選んでみると、黒ビールの奥深さに気づけるかもしれません。
料理との相性で選ぶともっとおいしい
まず、スタウトはどちらかというと主張が強め。
焦がした麦芽の香ばしさや、口の中にふわっと広がるコクがしっかりしているので、味の濃い料理と相性が抜群なんですよね。
たとえば、焼き鳥ならタレ味。
甘辛い味付けとスタウトのビターさが、口の中でちょうどいいバランスを作ってくれる感じがします。
個人的には、ハンバーガーに合わせて飲んだときの満足感が忘れられません。
ファストフードの脂っこさがスタウトの苦みで中和されて、むしろ後味がすっきりしたんです。
あの感覚はちょっとクセになります。
それに対して、黒ビール(シュバルツやミュンヘン・ダーク系など)は、同じくダークカラーでもややライトな飲み口が魅力です。
香ばしさもあるけど、重たすぎず、何杯でも飲めてしまうような軽快さがあります。
私はよくソーセージや唐揚げと一緒に合わせるんですが、脂の強さをうまく逃がしてくれる印象があります。
ビールの苦みが強すぎないので、素材の味もしっかり感じられるんですよね。
季節によってベストな選び方は変わる
季節によっても、選び方が変わってきます。
夏の暑い日、冷蔵庫からキンと冷えた黒ビールを出して、ベランダでひとり乾杯。
軽めのタイプなら汗をかいた身体にも負担が少なくて、爽快感すらあります。
逆に、冬の寒い夜に飲むなら、絶対にスタウト。
温度を少し上げて、10度前後でゆっくり飲むと、甘さやチョコレートのようなニュアンスが立ち上がって、体の芯からホッとします。
読書しながら、部屋着でこたつに入って飲むスタウト、ちょっと贅沢な時間です。
黒ビールって「冬向け」みたいなイメージがあるかもしれませんが、実際には夏でも楽しめるタイプがたくさんあります。
重さやアルコール度数を意識して選ぶと、シーズン問わず気軽に飲めるんですよ。
グラスや温度でも味わいが変わる
意外と見落とされがちなのが、グラスの形や温度です。
私は昔、黒ビールをいつものジョッキでガブガブ飲んで「なんか重たいな」って思ったんですが、ある時パイントグラスに替えたら風味の広がり方が違ってびっくりしました。
スタウトの場合、チューリップ型のグラスで飲むと香りがふわっと引き立つし、黒ビールもフルート型で飲めば、炭酸の感じが生きてくる。
そういうちょっとした工夫で、同じ銘柄でもまるで違う顔を見せてくれるんです。
温度も大事で、キンキンに冷やしすぎると風味が閉じてしまうことがあります。
少し温度を上げて、香りが立ち上がってきた頃に飲むと「こんな味が隠れてたんだ」って気づかされることも。
飲み方ひとつで、黒ビールはもっと面白くなるんです。
まとめ
一度ハマると、その奥深さにどんどん引き込まれる黒系ビールの世界。
種類も製法もさまざまで、知れば知るほど面白くなってきます。
クラフトビール専門のバーやビアフェスに足を運ぶと、まだ知らない黒ビールに出会えることも多いです。
自宅でも、最近は瓶や缶で手軽に手に入るようになってきました。
ネットショップを活用すれば、海外の有名スタウトや、国内のクラフトブルワリーの限定黒ビールも楽しめるようになっています。
個人的には、夜に本を読みながらゆっくり味わうスタウトが好きです。
何も考えずに、ただ「美味しいなぁ」と思える時間って、案外贅沢なのかもしれません。
新しい黒ビールに出会ったときの「こんな味あるんだ!」という驚き。
ぜひ、その楽しさをたくさんの人にも味わってほしいなと思っています。
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