クラフトビールを選ぶとき、メニューに並ぶ名前を見て「なんとなく小麦っぽいのを…」と頼んだこと、ありませんか?
自分もそうでした。
中でも「ウィートエール」と「ヴァイツェン」はよく似た響きを持っていて、どちらも小麦ビールと紹介されることが多いです。
でも、いざ飲んでみると味わいも香りもぜんぜん違う。
どうして?と思ったのがきっかけで、この2つの違いを深く知るようになりました。
ビールに詳しい友人と飲みに行ったとき、まるで違うものだと断言されたことがありました。
あのときの衝撃、今でも覚えています。
そこからは、バーや酒屋でウィートエールとヴァイツェンを見かけるたびに、これはどっちの特徴だろう?とラベルを見て確かめたり、醸造所のサイトを調べたり。
少しずつ違いが見えてくると、クラフトビールの世界がより立体的に感じられるようになりました。
ウィートエールの製法や特徴
ウィートエールという言葉を聞くと、ふんわり柔らかな響きがして、どこか軽快な印象を受けます。
そのイメージ通り、飲んでみるとすっと喉を通る爽やかさがあるビールです。
特にアメリカで発展したスタイルとして知られていて、暑い日にゴクゴク飲みたいタイプのビールに仕上げられていることが多いです。
初めてウィートエールを口にしたのは、キャンプ場の近くにあったブルワリーでした。
木陰で飲む冷えたウィートエールは、体に染み込むような清涼感があって、まるでその場の空気までおいしくなったような気がしました。
このビールは小麦を使ってはいるものの、ホップの使い方が現代的です。
特にシトラス系のアロマホップを効かせたレシピが人気で、レモンやグレープフルーツのような香りが感じられるものもあります。
苦味は控えめで、後味もスッキリ。まさに夏向けのビールという言葉がぴったりです。
製法としては、通常のエールビールと同様に上面発酵で造られます。
つまり、発酵中に酵母が上に浮かぶタイプ。
高めの温度帯で発酵させることで、フルーティーな香りを引き出しています。
ただし、ヴァイツェンのような「バナナ香」やスパイス感はあまり感じられず、あくまでフレッシュ&軽快な印象が強いです。
飲みやすさと親しみやすさから、クラフトビール初心者にも勧められるスタイルだと思っています。
特に柑橘系のジュースが好きな人には、きっとハマる味わいではないでしょうか。
ヴァイツェンの製法や特徴
ヴァイツェンはドイツ発祥の小麦ビールで、名前そのものが「小麦」を意味します。
ウィートエールと同様に小麦が使われていますが、その存在感や表情の出し方はまったく異なります。
もっと言うと、味づくりの中心が「酵母」なのです。
最初にヴァイツェンを飲んだのは、ドイツビール専門店でのこと。
濁った見た目に少し戸惑いつつ、一口飲んだ瞬間に世界が変わった気がしました。
鼻から抜ける甘いバナナのような香り、奥に潜むクローブのようなスパイシーさ。
その組み合わせがあまりに独特で、これはただのビールじゃない、と思ったのをよく覚えています。
この香りは、ヴァイツェン酵母が発酵中に生み出すもの。
バナナ香の正体は「酢酸イソアミル」、クローブ感は「4-ビニルグアイアコール」という化合物です。
なんだか化学の授業みたいですが、つまりは「酵母ががんばって出している香り」というわけです。
そしてヴァイツェンは、無濾過で仕上げるのが一般的です。
濁りがあるのはそのため。白くにごった液体に、ふんわりとした泡。
見た目にも温かみがあって、どこか手作りのぬくもりを感じさせます。
小麦の使用比率も50%以上とされていて、より強いまろやかさがあります。
舌触りが柔らかく、炭酸もやや抑え気味。落ち着いた夜や、静かに過ごしたい時間にぴったりなスタイルです。
日本でも有名な銘柄がいくつかありますが、自分のお気に入りは、長野県のブルワリーが造っているヘーフェヴァイツェン。
毎年秋になると限定販売されるもので、発売日には迷わず買いに走ります。
ウィートエールとヴァイツェンの違い
どちらも「小麦ビール」と紹介されることが多いため、一見似ているように思われがちです。
でも実際には、飲み比べるとまるで別物。知れば知るほど、その違いは際立ってきます。
香りの違い
どちらも小麦を使ったビールながら、香りの印象は大きく異なります。
ウィートエールはホップの香りが中心で、柑橘系やハーブ、時にはフローラルな香りが鼻をくすぐります。
開栓した瞬間に爽やかさが広がるタイプです。
一方のヴァイツェンは、独自の酵母が生み出す香りが特徴。
バナナのような甘く熟した香りや、クローブのようなスパイシーさが感じられます。
ホップの香りは控えめで、香りだけで「個性派」とわかる存在です。
見た目の違いン
見た目でも両者の違いは一目瞭然です。
ウィートエールは比較的クリアな液体で、淡いゴールドや琥珀色が多く、泡立ちも控えめ。
その分、すっきりとした印象を与えます。
ヴァイツェンは無濾過のため濁りがあり、液色はやや白濁した明るい黄色が特徴。
泡はきめ細かく、まるで生クリームのようにグラスの上に盛り上がります。
この見た目の豊かさが、飲む前から楽しみを増してくれます。
味と飲みごたえ
ウィートエールは、味わいも香りと同様に爽やか。
ドライな口当たりで、軽快な飲み口が特徴です。
暑い日にゴクゴク飲みたいと感じるのはこちら。苦味も控えめで、苦手意識のある人にもおすすめです。
ヴァイツェンは滑らかな舌触りとコクのある味わいが魅力。
小麦のやさしい甘みと酵母由来の風味が口の中に広がり、ゆったりと味わいたくなります。
炭酸は強すぎず、まろやかなのど越しがクセになります。
飲み方やシーンの違い
ウィートエールは、レモンやオレンジなどの柑橘類を添えると、さらに爽やかさがアップ。
アウトドアや昼間のバーベキュー、ピクニックなど、カジュアルなシーンにぴったりです。
対するヴァイツェンは、グラスに注いでそのまま楽しむのが王道。
香りをじっくり堪能したいとき、例えば夜にひとりで音楽を聴きながら、静かに時間を過ごしたいときなどにおすすめです。
まとめ
ウィートエールとヴァイツェンは、どちらも小麦を使ったビールですが、香り・見た目・味わいのすべてに違いがあります。
ウィートエールはホップの香りが爽やかで、軽快な飲み口が特徴。
ヴァイツェンは酵母由来のバナナ香や濁った見た目が印象的で、まろやかな口当たりを楽しめます。
アウトドアや食事に合わせやすいウィートエールと、ゆっくり味わうのにぴったりなヴァイツェン。
その日の気分やシーンによって選び分けることで、小麦ビールの魅力をもっと深く味わえるようになります。
どちらが好みか、ぜひ実際に飲み比べてみてください。
きっと新しい発見があるはずです。
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